Adobe スーパー解像度の効果をプリントで検証する

Adobe Lightroom、Camera Raw で使えるスーパー解像度について、オリジナル画像とスーパー解像度画像を2L(5×7)から全紙までのサイズにプリントし、画質(高精細かどうか)を検証しました。

スーパー解像度検証の結論



「スーパー解像度」を使⽤すると、元の画質を保持しながら、画像の解像度を縦横それぞれ2倍、総面積4倍まで拡大することができます。

Adobe https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/how-to/jp-super-resolution.html (参照 2023/09/10) より

結論としては、Adobe公式サイトの説明のとおりとなりました。

それはつまり、

「元の画質を保持しながら」→ 少なくとも全紙くらいまでは、スーパー解像度画像がオリジナル画像より高精細になるわけではない

「画像の解像度を縦横それぞれ2倍、総面積4倍まで拡大する」→ より大きなプリントを作ることができる

ということです。

以下、詳しく見ていきましょう。



使用したカメラとプリント

使用したカメラは、

Sony RX100(初代)1インチセンサー、2020万画素と

Pentax K-7 + DA15mm F4 APS-Cセンサー、1460万画素です。

プリントは地元のカメラのキタムラにお願いしました。ワイド四切まではお店でプリントできます。300dpi でプリントされるそうです。全紙になるとお店ではなく外注で dpi は不明でした。

Photoshopで、できるだけ高い ppi のデータを作り注文しました。

なお、シャープネスはどの写真にもかけていません。

RX100の場合の例

オリジナル画像からワイド六切(8 inch x 12 inch)では、456 ppi
スーパー解像度画像からワイド六切(8 inch x 12 inch)では、912 ppi


Pentax K-7の場合の例

オリジナル画像から全紙(画像は2:3で 14.5 inch x 21.75 inch)では、214 ppi
スーパー解像度画像から全紙(画像は2:3で 14.5 inch x 21.75 inch)では、428 ppi



効果1 元の画質を保持

画質は同等かオリジナルの方が若干よい

私が確かめたかったのは、オリジナル画像とスーパー解像度画像を同一サイズ(全紙くらい)でプリントした場合、画素が増えたスーパー解像度画像はプリント上で高精細になるのかどうかでした。

Adobe公式サイトの説明ビデオでは、スーパー解像度の使用例として大きな建物の内部の壁に巨大なプリントを掲示しているシーンを描いています。大きなプリントを作るのにスーパー解像度が使えますよということのようです。

写真は大きく引き伸ばせば伸ばすほど精細さが失われてぼんやりしていきます。だから、スーパー解像度で大きいプリントを作ることができるなら、小さいプリントでは精細さが増すのかなと思いましたが、違いました。

実際、オリジナル画像とスーパー解像度画像の精細さを同一サイズのプリント上で見比べると、全紙まではほぼ同等かオリジナルのほうが若干よかったです。

写真の裏に印をして、どれがオリジナルでどれがスーパー解像度かわかるようにしていました。写真を凝視し見比べて、こちらの方がシャープだろうと裏をめくるとオリジナル画像の写真です。私は首をかしげました。自分の目は節穴なのか・・・。

2L(5×7)、ワイド六切、ワイド四切、全紙などにプリントしましたが、すべてそういう結果になりました。



スーパー解像度のメリットのひとつは

「元の画質を保持しながら」という言葉がキーポイントで、これは写真の精細さがオリジナルより増すわけではないという意味に受け取ってよいです。

スーパー解像度を適用してこんなに綺麗になった! before & after 画像をネットで見かけますが、あれはディスプレイ上でのはなしで、プリントではそこまでの違いはありません。

たんにPhotoshopで画素を増やして大きくプリントすると、写真はボケますが、スーパー解像度を使えば元の画質を保持できます。スーパー解像度のメリットの一つはそこだと思います。



効果2 縦横それぞれ2倍、総面積4倍

全紙程度ではその効果はわからなかった

画素が縦横それぞれ2倍、総面積4倍に増えることでより大きなプリントを作ることができるようです。しかし、今回の検証で行った全紙へのプリント程度ではその効果ははっきりわかりませんでした。

全紙よりさらに大きいプリントでどのような結果が出るのかは次回の課題となりました。

元画像が小さいとか巨大なプリントを作るなど、画素不足の、より厳しい条件で威力を発揮するのだと思います。そこがスーパー解像度のもうひとつのメリットでしょう。この点は機会があればまた検証してみたいと思います。



トリミングした画像について

撮影後オリジナル画像をトリミングしたから、スーパー解像度で画素を増やそうと思われるかたもいらっしゃるかもしれません。

ですが、オリジナルより高精細になることはないので、巨大なプリントを作るのでないなら、スーパー解像度をかけてもかけなくても同じだと思います。個人的にはかけないほうがシャープに見えます。

高画質を望むなら、なるべくトリミングしなくてすむように撮影するのが最善です。

不思議ですよね。より大きなプリントが作れるようになるのに、オリジナル画像より高精細になるわけではない・・・。

ぜひ実際にプリントして見比べてみてください。



最後に

スーパー解像度に対して厳しい評価となってしまいました。つっこみどころの多いこの検証を最後までご覧いただきありがとうございました。

私はブログを書くときにスーパー解像度を使っています。小さな画像を4Kモニターに対応させる必要があったりして、そんなときに重宝しています。

日ごろPhotoshopやLightroomで楽しく写真編集をしています。今後、スーパー解像度の技術がさらに発展していくことを期待しています。

以上、Adobe スーパー解像度の効果をプリントで検証する でした。