モノクロフィルム現像やプリントのための薬液を、単薬を用いて自家調合する場合の、参考となる処方をまとめます。
はじめに : 現像液など各液の作り方
まずはじめに、薬品の保管、取り扱いには充分注意しましょう。作業時は、身体保護のためゴーグル、マスク、ゴム手袋をしましょう。身体は大事ですからね。
現像液など各液の作り方ですが、処方の表を掲載していますので、その表の上から順番に溶かしていってください。薬品の働き、溶けやすさなどが考慮された順番となっています。
処方の情報は主にスティーブ・アンチェル著、THE DARKROOM COOKBOOK 第4版を参考にしています。
フィルム現像液
まず、フィルム現像液です。
Kodak D-23
コダックのフィルム用微粒子現像液 D-23の処方です。
水(52℃) | 750ml |
メトール | 7.5g |
無水亜硫酸ナトリウム | 100.0g |
冷水を加えて | 1000ml |
基本は希釈せず原液で使用します。20℃で12分。
Kodak D-76
コダックのフィルム用標準現像液 D-76の処方です。
水(52℃) | 750ml |
メトール | 2.0g |
無水亜硫酸ナトリウム | 100.0g |
ハイドロキノン | 5.0g |
ホウ砂 | 2.0g |
冷水を加えて | 1000ml |
原液、1:1希釈などで使用します。
Mytol
ポール・ルイス氏考案のフィルム用ビタミンC系標準現像液 Mytolの処方です。コダック XTOLの代わりになるものです。
水(27℃) | 750ml |
無水亜硫酸ナトリウム | 85.0g |
メタほう酸ナトリウム | 4.0g |
アスコルビン酸ナトリウム | 12.0g |
フェニドン | 0.15g |
メタ重亜硫酸ナトリウム | 3.0g |
冷水を加えて | 1000ml |
原液、1:1、1:2希釈で使用します。
印画紙現像液
続いて印画紙現像液です。
Ansco 120
印画紙用軟調現像液 アンスコ120の処方です。
水(52℃) | 750ml |
メトール | 12.3g |
無水亜硫酸ナトリウム | 36.0g |
一水塩炭酸ナトリウム | 36.0g |
臭化カリウム | 1.8g |
冷水を加えて | 1000ml |
上記1000mlが保存液です。
基本は1:1希釈で使用します。
Kodak D-72
コダックの印画紙用純黒調現像液 D-72の処方です。
水(52℃) | 500ml |
メトール | 3.0g |
無水亜硫酸ナトリウム | 45.0g |
ハイドロキノン | 12.0g |
一水塩炭酸ナトリウム | 80.0g |
臭化カリウム | 2.0g |
冷水を加えて | 1000ml |
上記1000mlが保存液です。
1:1〜1:4希釈で使用します。
E-72
クリス・パットン氏考案の印画紙用ビタミンC系純黒調現像液 E-72の処方です。
水(52℃) | 750ml |
フェニドン | 0.3g |
無水亜硫酸ナトリウム | 45.0g |
アスコルビン酸 | 19.0g |
一水塩炭酸ナトリウム | 90.0g |
臭化カリウム | 1.9g |
冷水を加えて | 1000ml |
上記1000mlが保存液です。
1:1〜1:4希釈で使用します。
停止液
続いて停止液です。
Kodak SB-8
クエン酸停止液です。
水 | 750ml |
クエン酸 | 15.0g |
水を加えて | 1000ml |
調色液
続いて調色液です。
Kodak T-7a
漂白し再現像するタイプのセピア調色液 コダックT-7aの処方です。
漂白液 A 保存液
水 | 1000ml |
フェリシアン化カリウム | 75.0g |
臭化カリウム | 75.0g |
シュウ酸カリウム | 195.0g |
28% 酢酸 | 40.0ml |
水を加えて | 2000ml |
調色液 B 保存液
水 | 500ml |
硫化ナトリウム | 45.0g |
使用液の作り方はこちら↓
漂白液 A 使用液 1000ml
漂白液保存液 A | 500ml |
水 20℃ | 500ml |
調色液 B 使用液 500ml
調色液保存液 B | 125ml |
水 20℃ | 375ml |
使い方
1. 水洗したプリントを漂白液 Aに浸し、かすかな黄褐色になるまで撹拌する。約5分から8分。
2. 流水で少なくとも2分水洗する。
3. 調色液 Bに浸し、色調の変化がなくなるまで撹拌する。約30秒。
4. 流水ですすぐ。
5. コダック F-5a Hardener(原液1に対して水13)に2分から5分浸す。*
6. 水温18℃から24℃でFB紙 30分、RC紙 4分、本水洗する。
* 定着は無硬膜タイプが推奨されています。
コダックのマニュアルには硬膜剤を使うようにと書かれていますが、硬膜剤は必要ないという意見もあるようです。そもそも硬膜化は、この調色によって乳剤面が柔らかくなり傷が付きやすくなるので行います。硬膜化するかどうかは、使っている印画紙の状態を見て判断するのがいいかもしれません。
Kodak T-8
多硫化調色液 コダックT-8の処方です。
使用液
水(20℃) | 750ml |
多硫化カリウム(硫肝) | 7.5g |
一水塩炭酸ナトリウム | 2.5g |
水を加えて | 1000ml |
使い方
1. 水洗したプリントを使用液に浸し、20℃なら15〜20分、38℃なら3〜4分、撹拌する。
2. 流水で2分水洗する。
3. 水洗促進剤で1分処理する。
4. コダック F-5a Hardener(原液2に対して水16)に2〜5分浸す。*
5. 水温18℃から24℃の流水でFB紙 30分、RC紙 4分、本水洗する。
* 定着は無硬膜タイプが推奨されています。
硬膜化に関しては、Kodak T-7aの項もご覧ください。
最後に
薬品の保管、取り扱いには充分注意しましょう。作業時は、身体保護のためゴーグル、マスク、ゴム手袋をしましょう。
以上、フィルム現像&プリントの薬品自家調合処方まとめでした。
ご参考になれば幸いです。
参考になるサイト(英語)。
unblinkingeye.com
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